玄関は『開けない』が最強の防犯

具体対策

第8回・具体対策

玄関は「開けない」が最強の防犯

―録画インターホン・宅配ボックス・訪問者対応ルール―

「宅配便です」「ガスの点検にきました」「警察のものですが」——こういった言葉で玄関のドアを開けてしまったことはありませんか?

第4回でご紹介したルフィ事件でも、「宅配業者を装って」玄関から押し入る手口が使われていました。どれだけ窓や外構を強化しても、玄関を自分から開けてしまっては意味がありません。

今回は、「玄関を開けない」という最もシンプルで効果的な防犯の基本と、それを支える道具・習慣を解説します。

1.なぜ「玄関を開けない」が最強なのか

犯人の立場で考えてみましょう。どれだけ侵入を試みても、住人が「開けなければ」玄関からは入れません。ガラスを割る・鍵をこじ開けるといった強引な手口は、音が出て目立ちます。だからこそ犯人は「住人自らドアを開けさせる」という手口を選ぶのです。

【玄関から侵入する犯人の典型的な手口】

 

・宅配業者・郵便局員を装う

・ガス・電気・水道の点検業者を装う

・役所・市区町村の職員を装う

・警察官・刑事を装う

・「お隣から頼まれた」「道に迷った」など親切を装う

 

いずれも「ドアを開けなければ侵入できない」手口です。

2.「呼んでいない人には開けない」を家族のルールに

防犯の基本中の基本は、「自分が呼んでいない人にはドアを開けない」というルールです。これは警察庁も明確に推奨しています。

【家族で決めておくべき「開けないルール」】

 

① 事前に連絡のない訪問者には、ドアを開けない

② インターホン越しに用件を確認し、必要なら「後で連絡します」と伝えて終わる

③ 「点検・工事・役所・警察」を名乗っても、その場で開けない

→ 会社名・担当者名を聞き、いったん切って公式番号に電話して確認する

④ 宅配便は「置き配」または「宅配ボックス」を活用して対面を避ける

⑤ 玄関の内側に「知らない人には開けない」メモを貼る(高齢の家族がいる場合に特に有効)

「失礼かな」と思う必要はありません。本物の業者・職員であれば、確認のために時間をとることを理解してくれます。むしろ確認を嫌がる訪問者は、怪しいと判断してよいでしょう。

3.録画機能付きインターホンが「確認」と「証拠」の両方になる

「誰が来たか確認する」ために最も効果的な設備が、録画機能付きインターホン(テレビドアホン)です。

【録画付きインターホンの3つのメリット】

 

映像で確認できる

→ 音声だけでなく顔・服装・体格が見えるため、なりすましを見抜きやすい

 

録画が証拠になる

→ 不審者の訪問が記録され、警察への相談・通報時に役立つ

 

抑止効果がある

→ カメラが見える状態にあること自体が、犯人への心理的プレッシャーになる

インターホンの設置角度が重要

録画付きインターホンでも、設置角度が悪いと顔が映らないケースがあります。玄関前に立った人の顔がしっかり映るよう、設置位置と角度を確認してください。帽子・マスク着用でも識別できるよう、やや高めの位置からの俯瞰角度が効果的です。

【インターホン選びのポイント】

 

・録画機能付き(SDカード・クラウド保存)

・夜間対応(赤外線カメラ)があると夜も映像が確認できる

・スマートフォン連携型なら外出中でも対応できる

・古いインターホンは音声のみのものが多いので交換を検討する

4.宅配ボックスで対面機会を減らす

宅配便の受け取りは、玄関を開ける機会の中で最も多いものの一つです。宅配ボックスを設置することで、不在時・在宅時を問わず対面なしで荷物を受け取れるようになります。

【宅配ボックスの防犯上のメリット】

 

・宅配を装った犯人と対面する機会がなくなる

・在宅・不在のパターンを読まれにくくなる

・「置き配」の指定と組み合わせると、さらに対面機会が減る

 

設置場所は、道路から見える位置が理想です。「この家は宅配ボックスがある=対面で開けさせるのが難しい家」という印象を与えられます。

5.「玄関ドアを開ける前」の確認習慣

インターホンが鳴ったとき、すぐにドアを開けるのではなく、次の順番で確認する習慣をつけてください。

ステップ 行動 ポイント
インターホンのモニターで映像確認 顔・服装・体格を確認。不審なら応答しない選択もある
インターホン越しに用件を聞く ドアは開けない。「どちら様ですか?」と聞く
業者・職員なら社名・名前・目的を確認 メモを取り、公式番号で折り返し確認する
確認が取れてから初めてドアを開ける チェーンをかけたまま少し開けるのも有効
不審なら110番・#9110に相談 「通報するほどでも」と思わず、気軽に相談してよい

6.万一、侵入されてしまったら

どれだけ対策をしていても、万一に備えた心構えも必要です。外務省・在外公館の「安全の手引き」でも、海外生活における強盗対応として一貫して示されているのは「命を守ることが最優先」という考え方です。

【万一のときの行動原則】

 

抵抗しない → 物より命が大切。抵抗は被害を拡大させるリスクがある

急な動作をしない → 犯人を刺激する行動は避ける

大声を出すタイミングを考える → 安全が確保できる状況でのみ有効

犯人の特徴を覚える → 安全確保後の通報に役立てる

安全確保後すぐに110番 → 負傷者がいれば119番も

 

「お金は渡してよい」という心構えを家族で共有しておくことで、いざというときのパニックを軽減できます。

まとめ:今日からできること

【今日の確認チェック】

 

□ 「呼んでいない人にはドアを開けない」を家族のルールにしていますか?

□ インターホンは録画機能付きですか?映像でしっかり顔が確認できますか?

□ 業者・職員を名乗る訪問者に、その場でドアを開けていませんか?

□ 宅配便の受け取りは「置き配」や「宅配ボックス」を活用していますか?

□ 高齢の家族がいる場合、玄関内側に「知らない人には開けない」メモを貼っていますか?

□ 万一のときは「抵抗しない・命優先」を家族で共有していますか?

次回は「防犯カメラと見守り機器の正しい選び方——高い位置・トレイルカメラ・実家のTapo活用」をお届けします。カメラは「録る」だけでなく「見せる」抑止効果が大切です。正しい設置場所と選び方を解説します。

参考・引用

※1 警察庁「住まいる防犯110番」https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/bouhan/

※2 政府広報オンライン 防犯特集(2024年版)

※3 外務省「海外安全情報・安全の手引き」各国版

※4 首相官邸 犯罪対策閣僚会議関連資料

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