犯人は必ず下見をする

具体対策

第11回・具体対策

犯人は必ず下見をする

―不審者・不審車両を地域で共有する仕組みの作り方―

犯人はある日突然、無作為に家を選んで侵入するわけではありません。必ず事前に「下見」をしています。これは国内外の犯罪研究でも一貫して示されている事実であり、政府広報でも「侵入者は目星をつけた地域や家の下見を行うことが多い」と明記されています。

裏を返せば、「下見の段階で気づいて対処できれば、犯行そのものを防げる」ということです。今回は、犯人の下見行動の特徴と、地域で情報を共有する具体的な方法をお伝えします。

1.犯人の「下見」はこんな行動として現れる

下見は1回とは限りません。複数回にわたって同じ地域・同じ家の周辺を確認するケースが多いとされています。以下のような行動は、下見のサインである可能性があります。

【下見の特徴的な行動パターン】

 

同じ車が何度も同じ場所に停まっている

→ 特に近所に用のない場所に、エンジンをかけたまま停車している

 

見慣れない人物が周辺をゆっくり歩いている

→ 特に目的もなく、家の周りをうろついている

 

インターホンを押してすぐ立ち去る

→ 「在宅確認」のためにインターホンを押し、出てこなければ留守と判断して立ち去る

 

写真を撮っている

→ 住宅の外観・裏側・死角になる場所を撮影している

 

同じ人物・車両を複数回見かける

→ 1回だけなら偶然でも、2〜3回同じ状況が続く場合は要注意

2.下見されにくい家を作る「在宅感の演出」

下見の段階で「この家は留守が多い・狙いやすい」と判断させないことが重要です。実際に在宅していなくても「在宅しているように見せる」工夫が効果的です。

【在宅感を演出する7つの方法】

 

① 郵便物・新聞をすぐに取り込む(溜めない)

② タイマー式コンセントで夜間の室内灯を自動点灯させる

③ 毎日同じ時間にゴミを出す習慣をつける

④ 長期不在のときは近所に一言伝えて、郵便物の取り込みをお願いする

⑤ 旅行・外出の予定をSNSにリアルタイムで投稿しない

⑥ 車を使わないときも、駐車場に何か置いておく

⑦ カーテンを毎日同じ時間に開け閉めする習慣をつける

3.不審情報を近所で共有する仕組みを作る

個人で気づいた不審情報も、近所で共有することで「地域全体の目」になります。情報が共有されている地域は、犯人にとって「やりにくい場所」です。

共有方法 特徴 向いている人
LINEグループ 写真・動画も共有できる。即時性が高い スマホに慣れている方
自治会・町内会の回覧板 スマホ不要。アナログで確実 高齢者が多い地域
防犯メール登録 警察・自治体から不審者情報が届く 全世代
立ち話・井戸端会議 費用ゼロ。日常の延長でできる 全世代・特に高齢者

【不審情報を共有するときのポイント】

 

・「〇月〇日 〇時頃、〇〇付近に白い車が長時間停まっていた」など、具体的に伝える

・断定せず「気になった」「念のため」という言い方で共有する

・写真が撮れた場合は共有しておくと参考になる

・「大げさかな」と思わず、気軽に共有する習慣をつける

4.「通報のハードルを下げる」ことが地域を守る

「これくらいで通報するのは大げさかな」と思って、結果として何もしない——これが最もよくあるパターンです。しかし、下見の段階で警察に情報提供することが、被害を未然に防ぐ最も有効な方法のひとつです。

【通報・相談の使い分け】

 

110番(緊急)

→ 今まさに犯罪が起きている・犯人を見た・被害を受けた

 

#9110(警察相談専用電話)

→ 不審者を見かけた・下見らしい行動を見た・なんとなく不安

→ 「通報するほどでも」と感じるレベルの相談に最適

 

首相官邸のメッセージでも#9110が明記されています。「迷ったら#9110」を家族全員で共有してください。

5.交番・駐在所を「顔見知り」にする

地域の交番・駐在所の警察官と顔見知りになることは、非常に効果的な防犯策です。警察官側も、住民が気軽に声をかけてくれることを歓迎しています。

【交番・駐在所との関係づくりのコツ】

 

・散歩や買い物のついでに立ち寄り、世間話をする

・「最近、この辺で何かありましたか?」と聞くだけでも情報が得られる

・不審な情報を持って行くと、パトロール強化をお願いできる

・顔を覚えてもらうことで、いざというときに相談しやすくなる

 

「大したことではないのに行くのは申し訳ない」は不要です。住民からの声かけは、警察官にとっても地域の状況を把握する大切な情報源です。

6.スマホが苦手な高齢者向けのアナログ連絡手段

地域の防犯情報共有は、スマホが使えない方も取り残さない仕組みが大切です。以下のアナログな方法も効果的です。

【アナログで使える情報共有の方法】

 

・自治会・町内会の掲示板に不審情報を貼り出す

・回覧板に「防犯情報コーナー」を設ける

・隣近所に直接口頭で伝える(「さっき変な車がいたよ」で十分)

・固定電話で近所に連絡する(緊急度が高い場合)

・民生委員・自治会長を通じて情報を広める

まとめ:今日からできること

【今日の確認チェック】

 

□ 下見のサイン(同じ車・不審な人物)に気づいたとき、#9110に相談できますか?

□ 近所で不審情報を共有する手段(LINEグループ・回覧板など)はありますか?

□ 郵便物・新聞はすぐに取り込んでいますか?(留守サインを消す)

□ 長期不在のときは近所に一言伝えていますか?

□ 近くの交番・駐在所に顔を出したことがありますか?

□ #9110を家族全員が知っていますか?

次回は「『侵入されたとき』の正しい行動とは——抵抗しない・追わない・急な動きをしない」をお届けします。これまで「侵入させない」対策を解説してきましたが、万一のときの行動も知っておくことが大切です。

参考・引用

※1 政府広報オンライン 防犯特集(2024年版)

※2 警察庁「住まいる防犯110番」https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/bouhan/

※3 警察庁 地域防犯活動推進関連資料

※4 首相官邸 犯罪対策閣僚会議関連資料(#9110案内)

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