外構・塀・照明の見直し方

具体対策

第6回・具体対策

外構・塀・照明の見直し方

―死角をなくし、犯人が「嫌がる家」を作る―

第3回から第5回にかけて、住宅を狙う犯罪の実態をお伝えしてきました。今回からはいよいよ「具体的な対策」の解説に入ります。

まず取り上げるのは、外構・塀・照明です。家の「外側」を整えることは、犯人に「この家には近づきたくない」と思わせる第一歩です。費用をかけなくてもできることが多いので、ぜひ今日から取り組んでみてください。

1.「高い塀=安全」は大きな誤解

多くの方が「塀や生垣が高いと安心」と思っています。しかし防犯の観点では、これは逆効果になる場合があります。

【高い塀・生垣の落とし穴】

 

高い塀や密度の高い生垣は、外から中が見えないため「プライバシーが守られる」メリットがあります。

 

しかし同時に、侵入した犯人が外から見えないという状況も作り出します。

 

塀の内側に隠れたまま窓を破る・鍵をこじ開けるといった作業を、通行人に気づかれずに行えてしまうのです。

警察庁の「住まいる防犯110番」でも、塀や生垣の高さについて「外から不審な動きが見える程度の見通しを確保することが重要」とされています。

目安:塀・生垣の高さは「1メートル前後」

完全に見えなくするのではなく、「人の上半身が見える程度」の高さが防犯上は理想的です。プライバシーと見通しのバランスを意識しましょう。

【今すぐできるチェック】

・道路側から家の壁・窓・勝手口が見えますか?

・塀の内側に、身をかがめれば隠れられるスペースはありませんか?

・植栽が伸びて、窓の周辺に死角ができていませんか?

2.植栽の剪定が最も費用対効果が高い

外構まわりの防犯対策の中で、最も手軽で効果が高いのが「植栽の剪定」です。費用は剪定道具代だけ、あるいはご自身で行えばほぼゼロです。

【剪定の優先箇所】

 

1階の窓まわり → 窓ガラスを破る作業を隠せる植栽がないか確認

勝手口・裏口まわり → 死角になりやすい場所を重点的に

塀ぎわ → 塀を乗り越えた後に隠れられる植栽がないか

駐車場まわり → 車の陰に隠れて作業できる植栽がないか

「見通しをよくする」という観点で、年に1〜2回の剪定を習慣にするだけで、家の防犯レベルは大きく変わります。

3.照明は「常時点灯」より「センサーライト」が効く

夜間の照明についても、多くの方が誤解しています。「明るければ安心」と思いがちですが、防犯効果は「常時点灯」より「センサーライト」の方が高いとされています。

なぜ常時点灯は逆効果になるのか

常時点灯の問題点

 

・犯人が光に「慣れて」しまう

・ずっと明るいため、侵入作業中に「いつもと違う」と気づかれにくい

・電気代がかかる割に、抑止効果が低下する

 

センサーライトの優位性

 

・人が近づいたときだけ強烈な光が点灯する

・「気づかれた」という心理的プレッシャーを犯人に与える

・周囲の人にも「異常があった」と知らせる効果がある

・省エネで電気代も抑えられる

警察庁・政府広報でも、センサー付きライトの有効活用が侵入犯罪の抑止に効果的と明記されています。

センサーライトの設置場所の優先順位

優先度 場所 理由
★★★ 勝手口・裏口 死角になりやすく、侵入経路として狙われやすい
★★★ 駐車場の奥・車の裏側 車の陰に隠れやすい
★★☆ 1階の窓まわり(裏庭側) 道路から見えにくい場所
★★☆ 物置・倉庫まわり 足場や道具を隠せる場所
★☆☆ 玄関(道路側) 人通りがある分、優先度は下がる

多くの方が玄関正面だけにセンサーライトを設置していますが、実は「裏側・内庭・勝手口まわり」が最も重要です。第2回の現場診断事例でも同じ落とし穴がありました。

4.センサーライトの選び方

【センサーライト選びのポイント】

 

電源方式

・AC電源(コンセント式):安定して明るい。配線工事が必要な場合がある

・ソーラー式:配線不要で設置しやすい。日当たりが必要

・電池式:どこでも設置できる。電池交換の手間がある

 

明るさ(ルーメン)

・400〜800ルーメン程度あれば十分な抑止効果がある

・明るすぎると近隣への光害になる場合があるので注意

 

センサーの感知範囲

・感知角度120度以上、感知距離5〜8メートル程度が目安

・設置角度によって死角が生まれるので、取り付け位置に注意

 

点灯時間

・30秒〜1分程度で消灯するタイプが電気代の節約にもなる

5.「裏側・内庭」を最優先にする理由

防犯診断の経験から強調したいのは、「道路から見える場所だけ対策していても不十分」ということです。犯人は下見の段階で、道路から見えない場所——裏口・内庭・勝手口——を特に注意して確認しています。

【見落とされがちな死角チェックリスト】

 

□ 隣家との境界付近に死角はありませんか?

□ 内庭や中庭は、道路から見えますか?

□ 裏口・勝手口に照明はありますか?

□ 物置の裏側に身を潜められるスペースはありませんか?

□ 2階のベランダに、外から登りやすい足場(物置・エアコン室外機等)はありませんか?

6.「領域性」を見せることも大切

CPTED(防犯環境設計)の考え方では、「ここは管理されている」と示すことが抑止につながります。高価な設備がなくても、以下のことで領域性を示せます。

【費用ゼロ〜低コストでできる領域性の演出】

 

・表札・門灯を整える(管理が行き届いている印象を与える)

・庭・植栽を手入れする(荒れた家より格段に狙われにくい)

・防犯カメラ作動中のステッカーを貼る

・「防犯設備設置済み」などのプレートを門扉に付ける

・郵便受けの郵便物をこまめに取り込む(留守サインを消す)

まとめ:今日からできること

【今日の確認チェック】

 

□ 塀・生垣の高さを確認しましたか? 死角になる場所はありませんか?

□ 1階の窓まわり・勝手口まわりの植栽を剪定しましたか?

□ センサーライトは「裏側・内庭・勝手口」に設置されていますか?

□ 玄関正面だけでなく、道路から見えない場所の照明を確認しましたか?

□ 庭・外構の手入れは行き届いていますか?(荒れた印象を与えていませんか?)

次回は「窓は『侵入口』として最優先で守る——CPマーク・補助錠・防犯フィルムの正しい使い方」をお届けします。侵入経路として最も多く使われる「窓」の具体的な対策を、コストと効果の両面から解説します。

参考・引用

※1 警察庁「住まいる防犯110番」https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/bouhan/

※2 政府広報オンライン 防犯特集(2024年版)

※3 国土交通省・警察庁「防犯性能の高い建物部品」普及推進会議

※4 CPTED関連国内研究(CiNii掲載論文)

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